愛猫が突然「ケッケッ」と苦しそうな音を立てて吐き戻す姿を見ると、何度経験してもドキッとしてしまいますよね。
「また毛玉かな?」と思いながらも、もし重大な病気のサインだったらどうしようと、不安になる飼い主さんも多いはずです。
実は、猫は体の構造上、他の動物に比べて「吐きやすい」生き物だと言われています。
しかし、だからといって全ての嘔吐を「いつものこと」と片付けてしまうのは少し危険かもしれません。
そこには、「様子を見てもいい嘔吐」と「すぐに病院へ行くべき嘔吐」の明確な違いがあるからです。
今回は、猫の健康を守るために知っておきたい「吐く頻度」や「毛玉と病気の見分け方」について、プロの視点から徹底的に解説していきます。
愛猫の小さなサインを見逃さないよう、一緒に学んでいきましょう。
1章 猫はなぜ吐きやすい?体の仕組みと「正常」な頻度
まずは、猫という動物がそもそもなぜ頻繁に吐いてしまうのか、その体のメカニズムを知るところから始めましょう。
人間なら吐くことは一大事ですが、猫にとっては日常的な生理現象の一部であることも多いのです。
この章では、猫の体の構造的な特徴と、心配いらない「正常な範囲」の頻度について深掘りしていきます。
猫の食道と胃の構造は「吐く」のに適している?
猫の体は、野生時代の狩りの名残を色濃く残しています。
獲物を丸飲みし、消化できない骨や毛皮を吐き出す必要があったため、嘔吐中枢が発達していると言われているんです。
具体的に言うと、猫の食道の筋肉は、そのほぼ全体が「横紋筋(おうもんきん)」という筋肉で構成されています。
これは自分の意思で動かせる筋肉の一種で、人間が腕を動かすのと同じように、ある程度意図的に胃の内容物を逆流させることが可能です。
また、胃酸の酸性度が非常に強いのも特徴でしょう。
食べた獲物の骨すら溶かすほどの強力な胃酸を持っているため、空腹時間が長すぎると、その胃酸自体が胃壁を刺激してしまい、白い泡や黄色い液体として吐き出されることがあります。
つまり、「吐くこと=即異常」というわけではなく、体調を整えるための防御反応として機能している側面も強いのです。
これって多い?少ない?「正常な嘔吐」の頻度を知る
では、どれくらいの頻度なら「正常」と言えるのでしょうか。
ここが飼い主さんにとって一番悩みどころですよね。
一般的な目安としては、「1日1回未満、かつ週に1〜2回程度」 であり、なおかつ**「吐いた後にケロッとしていて元気」** ならば、緊急性は低いと考えられます。
特に長毛種の子であれば、毛づくろいで飲み込んだ毛を排出するために、週に1回程度毛玉を吐くのは生理的な現象として許容範囲内とされることが多いです。
しかし、以下のようなケースは「頻度が高い」と判断すべきでしょう。
- 1日に数回(3回以上)吐いている。
- 3日以上連続して毎日吐いている。
- 週に何度も吐く状態が1ヶ月以上続いている。
回数だけでなく、その後の様子も重要です。
吐いた直後にまたご飯を欲しがったり、おもちゃで遊んだりしているなら、一過性の胃のムカムカだった可能性が高いです。
逆に、吐いた後にぐったりしていたり、食欲が落ちていたりする場合は、回数が少なくても要注意です。
まずは「普段のその子のペース」を把握し、そこから逸脱していないかをチェックすることが大切になります。
- 【1章のまとめ】
- 猫は野生時代の名残で、不要なものを吐き出しやすい体の構造をしている。
- 食道が横紋筋でできているため、吐き戻しが比較的容易にできる。
- 週に1〜2回程度で、吐いた後に元気があるなら正常範囲内の可能性が高い。
- 1日に何度も吐く、あるいは数日連続で吐く場合は異常のサインと捉える。
2章 これってただの毛玉?毛玉吐き(ヘアボール)の真実
猫が吐く原因として最もメジャーなのが「毛玉(ヘアボール)」です。
「毛玉なら病気じゃないから安心」と思いがちですが、実は毛玉が原因で命に関わるトラブルに発展することもあるのをご存知でしょうか?
ここでは、なぜ毛玉を吐くのか、そして毛玉が引き起こすリスクについて詳しく解説します。
グルーミングと毛玉の関係性
猫は起きている時間の多くを、自分の体を舐める「グルーミング(毛づくろい)」に費やします。
猫の舌をよく見ると、ザラザラとしたトゲのような突起(糸状乳頭)が無数に生えていますよね。
このトゲがブラシの役割を果たし、抜け毛を絡め取ってくれるのです。
しかし、絡め取った毛を猫は「ペッ」と吐き出すことができません。
舌の構造上、奥へ奥へと送り込まれるようになっており、結果として飲み込むしかないのです。
飲み込まれた毛のほとんどは、便と一緒に排泄されます。
ところが、換毛期で抜け毛が多かったり、長毛種で毛の量が多かったりすると、胃の中で毛が絡まり合い、大きな塊(=毛玉)になってしまいます。
この塊が胃の粘膜を刺激すると、猫はそれを排泄しようとして「吐く」という行動に出るわけです。
「カッカッ、ウェッ」と苦しそうにして、細長いフェルトのような塊が出てきたら、それがまさに毛玉です。
「毛玉症」という侮れない病気
毛玉を吐くこと自体は生理現象ですが、吐かずに胃の中に留まり続けたり、腸に詰まったりすると「毛玉症」という病気になります。
胃の中で巨大化した毛玉は、もはや吐き出すことも、腸へ流すこともできなくなります。
こうなると、常に胃の中に異物がある状態になり、慢性的な食欲不振や嘔吐を引き起こします。
さらに恐ろしいのは、毛玉が腸へ流れて途中で詰まってしまう「腸閉塞」です。
これは完全な緊急事態。
腸が詰まると、激しい嘔吐と腹痛に襲われ、最悪の場合は腸が壊死して命を落とすこともあります。
「たかが毛玉」と放置していると、開腹手術が必要になるケースもあるのです。
もし愛猫が「吐こうとしているのに何も出てこない」という仕草を繰り返している場合は、毛玉が詰まっている可能性があります。
また、便秘気味で便に毛が混じっていない場合も、お腹の中に溜まっているサインかもしれません。
日頃からブラッシングで抜け毛を取り除いてあげることは、単なる美容だけでなく、こうした病気の予防にもつながる重要なケアなのです。
- 【2章のまとめ】
- 猫の舌の構造上、グルーミングで飲み込んだ毛は吐き出すか排泄するしかない。
- 胃の中で毛が固まったものが毛玉であり、それを吐くのは生理的な反応。
- 吐き出せずに巨大化した毛玉は「毛玉症」を引き起こし、胃や腸を塞ぐリスクがある。
- 「吐く仕草をするのに出ない」場合は、毛玉が詰まっている可能性があり危険。
3章 【保存版】色と内容物でわかる!危険な嘔吐の見分け方
ここが今回の記事で最も重要なパートです。
目の前の嘔吐物が「様子見でいいもの」なのか、「すぐに病院へ行くべきもの」なのか。
その判断材料となるのは、吐いた物の「色」「形」「臭い」、そして「タイミング」です。
いざという時に慌てないよう、チェックリストとして活用してください。
嘔吐物の「色」と「内容物」をチェックしよう
吐瀉物(としゃぶつ)を観察するのは少し抵抗があるかもしれませんが、そこには体からの重要なメッセージが隠されています。
スマホで写真を撮って獣医師に見せるのも、非常に有効な診断材料になりますよ。
主なパターンをリストアップしてみましょう。
- 透明〜白い泡
- 正体: 胃液や唾液。
- 判断: お腹が空きすぎている時によく見られます。元気があれば、食事の間隔を見直すだけで改善することも。ただし、何度も繰り返す場合は胃炎の可能性も。
- 黄色い液体
- 正体: 胆汁(たんじゅう)。
- 判断: 胃が空っぽで、十二指腸から胆汁が逆流してきた状態です。これも空腹時に多いですが、頻繁なら消化器系の疾患が疑われます。
- 未消化のフード(筒状・固形)
- 正体: 食べた直後のフード。
- 判断: 早食いや食べ過ぎによる「吐出(としゅつ)」の可能性が大。消化される前に食道や胃から出たものです。一過性なら心配いりませんが、フードの粒が大きい、容器が低すぎるなどの原因も考えましょう。
- ピンク色・赤色が混じる
- 正体: 血液。
- 判断: 【要注意】 口の中、食道、胃のどこかから出血しています。少量なら胃炎などで粘膜が荒れただけかもしれませんが、鮮血が多い、コーヒー残渣(ざんさ)のような黒っぽい血が混じる場合は、重篤な潰瘍や腫瘍の恐れがあります。即病院へ。
- 緑色
- 正体: 濃い胆汁、または誤食したもの。
- 判断: 【緊急】 激しい嘔吐で胆汁が濃縮されているか、腸閉塞を起こしている可能性があります。観葉植物などを食べた可能性も。すぐに受診が必要です。
- 便の臭いがする
- 正体: 腸の内容物。
- 判断: 【超緊急】 腸閉塞(イレウス)を起こしており、本来お尻から出るべきものが逆流しています。一刻を争う状態です。
「吐くタイミング」と「猫の行動」を観察する
色だけでなく、「いつ」「どのように」吐いたかも重要です。
以下の表で、状況別の緊急度を整理しました。
| 状況・行動 | 考えられる原因 | 緊急度 |
| 食後すぐに吐く | 早食い、食べ過ぎ、フードが合わない | ★☆☆ (続くなら変更) |
| 空腹時(早朝など)に吐く | 空腹による胃酸過多 | ★☆☆ (食事回数を増やす) |
| 水を飲んで即吐く | 腎臓病、重度の胃腸炎、中毒 | ★★★ (すぐ病院へ) |
| 吐いた後に食べる | 単なる食べ過ぎ、元気がある証拠 | ★☆☆ (様子見可) |
| 吐いてぐったりする | 中毒、感染症、内臓疾患 | ★★★ (すぐ病院へ) |
| トイレで力んで吐く | 尿閉、便秘による苦痛 | ★★★ (すぐ病院へ) |
特に注意したいのが、「トイレに行こうとして吐く」あるいは「トイレの中で吐く」ケースです。
これは「おしっこやうんちが出なくて、苦しくて踏ん張っているうちに吐いてしまった」という状況が考えられます。
特にオス猫の尿道閉塞は、発見が遅れると数日で尿毒症になり死に至ります。
「吐いているから胃の病気かな?」と思いきや、実は膀胱やおしっこのトラブルだった、というのは意外と多い落とし穴なのです。
- 【3章のまとめ】
- 透明や黄色の嘔吐は空腹が原因のことが多く、緊急性は低めだが継続するなら注意。
- 赤(血)、緑、便臭のする嘔吐は危険信号。すぐに動物病院へ連絡する。
- 吐いた物の写真を撮っておくと、獣医師への説明がスムーズになる。
- トイレで吐いている場合は、排泄トラブル(特に尿閉)の可能性があり非常に危険。
4章 絶対に見逃してはいけない「危険な嘔吐」のサイン
前の章で見た目による判断をお伝えしましたが、ここではさらに踏み込んで、「緊急対応が必要なケース」を具体的に解説します。
猫の体調は急変しやすく、数時間の判断の遅れが命取りになることもあります。
「これくらい大丈夫だろう」という油断が一番の敵です。
どんな時に迷わずキャリーバッグに入れて病院へ走るべきか、その基準を明確にしておきましょう。
誤飲・誤食による嘔吐
猫は好奇心旺盛で、紐やビニール、小さなおもちゃなどを誤って飲み込んでしまう事故が後を絶ちません。
特に恐ろしいのが「紐(ひも)」状の異物です。
裁縫糸やリボン、梱包用の紐などが腸に流れると、腸の動きに合わせて紐がアコーディオンのように腸を締め付け、ズタズタに切り裂いてしまうことがあります。
これを「線状異物」と呼びます。
誤飲した場合の嘔吐の特徴は以下の通りです。
- 突然、激しく何度も吐き始める。
- 吐くものがなくなっても、えずき続ける。
- 口の中から紐が見えている(絶対に引っ張ってはいけません!)。
また、中毒物質を食べた場合も激しい嘔吐が見られます。
ユリ科の植物、玉ねぎ、チョコレート、保冷剤(エチレングリコール)などは、猫にとって猛毒です。
これらを摂取した疑いがあり、かつ嘔吐が見られる場合は、様子を見ている時間はありません。
夜間救急であっても受診する必要があります。
慢性疾患や感染症の疑い
突発的な事故だけでなく、病気が進行した結果として「危険な嘔吐」が現れることもあります。
例えば、「パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)」は、子猫が感染すると致死率が高い恐ろしい病気です。
激しい嘔吐と下痢、発熱がセットで起こり、急激に脱水症状が進みます。
ワクチン未接種の子猫が吐いている場合は、最優先で感染症を疑うべきでしょう。
また、成猫やシニア猫で「最近なんとなく痩せてきた」「水をよく飲む」という症状とともに嘔吐が増えている場合、慢性的な内臓疾患が隠れている可能性があります。
- 腎臓病: 毒素を排出できず、尿毒症の一歩手前で気持ち悪くなっている。
- 膵炎(すいえん): 診断が難しい病気ですが、食欲不振と嘔吐が主な症状。
- 糖尿病: 重症化するとケトアシドーシスという状態になり、激しく吐く。
これらは「今日すぐ死ぬ」というわけではなくとも、放置すれば確実に寿命を縮めます。
「年だから吐く回数が増えたのかな?」と自己判断せず、血液検査などで内臓の数値をチェックしてもらうことが大切です。
特に、吐いているのに元気がない、隠れて出てこないという「サイレントなサイン」を見逃さないであげてください。
- 【4章のまとめ】
- 紐や異物の誤飲は、腸を傷つける恐れがあり緊急手術が必要な場合も多い。
- 中毒(ユリ、玉ねぎ等)による嘔吐は、時間との勝負。即座に受診を。
- 子猫の嘔吐はパルボウイルスなどの感染症リスクが高く、命に関わる。
- シニア猫の嘔吐は、腎不全や膵炎など内臓疾患の進行サインである可能性がある。
5章 長く付き合う必要があるかも?慢性的な嘔吐の原因
緊急性は低くても、「なんとなくずっと吐いている」「月に数回、定期的に吐く」という悩みを持つ飼い主さんも多いでしょう。
急性の病気や異物ではないけれど、慢性的に嘔吐が続く場合、体質やアレルギー、あるいは特定の病気が背景にあるかもしれません。
この章では、じっくりと向き合って治療や管理をしていく必要がある慢性的な原因について解説します。
食物アレルギーとIBD(炎症性腸疾患)
「高いプレミアムフードをあげているのに吐く」
「フードを変えたら吐くようになった」
そんな時は、食物アレルギーを疑ってみてもいいかもしれません。
特定のタンパク質(鶏肉、牛肉、魚、穀物など)に対して免疫が過剰反応し、胃腸が荒れて嘔吐してしまうのです。
アレルギーの場合、嘔吐だけでなく、下痢や軟便、皮膚の痒み(体を執拗に掻く)などを併発することがよくあります。
また、近年猫で増えている診断に「IBD(炎症性腸疾患)」というものがあります。
これは原因不明の慢性的な胃腸炎で、アレルギーや免疫異常が関与していると言われています。
- 長期間(3週間以上)にわたり、断続的に嘔吐や下痢が続く。
- 食欲はあるのに体重が減っていく。
- 超音波検査で腸の壁が厚くなっている。
こうした特徴があり、IBDと診断された場合は、食事療法(低アレルゲンフードなど)やステロイド剤、免疫抑制剤を使って、炎症をコントロールしていく長い治療が必要になります。
完治は難しいですが、うまく付き合えば普通の猫と同じように元気に暮らせる病気です。
「吐き癖がある子」と諦めず、一度精密検査を受けてみる価値は十分にあります。
老化と腎臓病の関係
シニア期(7歳〜)に入ると、どうしても嘔吐の頻度は増えがちです。
消化機能が衰え、一度にたくさん食べられなくなったり、胃酸の分泌バランスが崩れたりするためです。
しかし、最も警戒すべきはやはり「慢性腎臓病」です。
猫の宿命とも言えるこの病気は、進行すると体内に老廃物が溜まり、常に二日酔いのような気持ち悪さを感じるようになります。
「胃液(白い泡や黄色い液)をよく吐くようになった」
「水をガブガブ飲んで、おしっこの量が増えた(多飲多尿)」
このセットの症状が見られたら、腎臓の機能がかなり低下しているサインかもしれません。
腎臓病で失った機能は取り戻せませんが、早期に発見して食事療法や投薬、点滴などを始めれば、進行を遅らせてQOL(生活の質)を維持することは可能です。
「年をとったから吐くのは仕方ない」ではなく、「吐き気を止めて楽にしてあげる」という視点でケアをしてあげたいですね。
制吐剤(吐き気止め)を使うことで食欲が戻り、体力が回復する子もたくさんいます。
- 【5章のまとめ】
- 慢性的に続く嘔吐は、食物アレルギーやIBD(炎症性腸疾患)の可能性がある。
- IBDは完治が難しいが、食事や薬でコントロールすれば普通の生活が可能。
- シニア猫の嘔吐は、消化機能の低下だけでなく、慢性腎臓病の代表的な症状。
- 吐き気止めなどで症状を緩和してあげることで、シニア猫の生活の質は大きく向上する。
6章 愛猫を吐き戻しから守る!家庭でできる予防とケア
ここまで、怖い病気の話もたくさんしてしまいましたが、最後に明るい話をしましょう。
日々のちょっとした工夫で、猫の「吐く頻度」を減らし、苦しい思いをさせずに済む方法はたくさんあります。
今日からすぐに実践できる予防策とケアの方法をまとめました。
お家の猫ちゃんに合わせて、できることから取り入れてみてください。
食事の与え方と環境を見直す
最も即効性があるのが、食事環境の改善です。
特に「早食い」による吐き戻し(吐出)は、物理的な工夫で劇的に減らすことができます。
- 食事台の高さを上げる猫が首を下げて食事をすると、食道が胃よりも低い位置になり、逆流しやすくなります。高さのある食器や、食事台を使って、首が胃より少し高い位置になるように調整してあげましょう。目安は、猫が立った状態で、胸の高さくらいに器が来るのが理想です。
- 早食い防止の工夫一気にガツガツ食べてしまう子には、「早食い防止皿(突起があるお皿)」を使ったり、1回の食事量を減らして回数を増やしたり(1日4〜5回など)するのが効果的です。胃への急な負担を減らすことができます。
- フードの粒の大きさを見直す粒が大きすぎて丸飲みしている場合は小粒に、逆に小さすぎて噛まずに飲んでいる場合は少し大きめの粒に変えてみるなど、その子の食べ方に合った形状を探してみてください。
- 食物繊維豊富なフード毛玉ケア用のフードには、食物繊維が多く含まれており、飲み込んだ毛を便と一緒に排泄させるのを助けてくれます。毛玉吐きが多い子には、こうした機能性フードへの切り替えも検討しましょう。
ブラッシングと水分補給の重要性
毛玉対策の基本は、やはり「ブラッシング」です。
飲み込む毛の絶対量を減らせば、当然吐く回数も減ります。
特に換毛期(春と秋)は、毎日ブラッシングをしてあげてください。
ラバーブラシやスリッカーブラシなど、猫の毛質や好みに合った道具を使うと、スキンシップの時間としても楽しめますよ。
また、ブラッシングが苦手な子や、それでも毛玉を吐いてしまう子には、「毛玉除去剤(ラキサトーンなどのペースト)」も有効です。
これはお腹の中の毛をコーティングして、ツルンと便として出しやすくするサプリメントのようなものです。
動物病院で購入できるので、相談してみてください。
そして最後に、「水分補給」です。
水分をしっかり摂ることで、胃腸の動きが活発になり、便秘(毛玉詰まり)を防ぐことができます。
ウェットフードを取り入れたり、水飲み場を増やしたりして、少しでも多く水を飲める環境を作ってあげましょう。
新鮮な水が常に飲める循環式の給水器を好む子もいますね。
「吐く」という行為は体力を消耗します。
飼い主さんのひと手間で、その苦しさを取り除いてあげられるなら、それに越したことはありません。
愛猫が毎日美味しくご飯を食べ、快適に過ごせるよう、これらケアを習慣にしていきましょう。
- 【6章のまとめ】
- 食器の高さを上げることで、物理的に吐き戻しを防ぐことができる。
- 早食い防止皿の使用や、小分け給餌で胃への負担を減らす。
- こまめなブラッシングで、飲み込む毛の量を減らすのが毛玉対策の基本。
- 毛玉除去ペーストや水分補給を活用して、お腹の毛を便として出すサポートをする。
まとめ:愛猫からのサインを受け取れるのはあなただけ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
猫の「吐く」という行動には、生理的なものから命に関わるものまで、様々な理由があることがお分かりいただけたかと思います。
猫は言葉を話せません。
「気持ち悪いよ」「お腹が痛いよ」と伝える代わりに、吐くことで不調を訴えているのかもしれません。
あるいは、単に「毛が詰まったから出したよ、スッキリ!」と言っているだけかもしれません。
その違いを見極められるのは、毎日一緒に過ごしている飼い主さんである、あなただけなのです。
- どんな色で、何を吐いたか。
- 吐く頻度は増えていないか。
- 吐いた後の元気や食欲はどうか。
この3点を常に意識しておけば、過度に恐れる必要はありません。
そして、「なんかいつもと違うな?」という飼い主さんの直感は、意外と当たるものです。
その直感を信じて、迷ったらすぐに動物病院へ相談することをおすすめします。
この記事が、あなたの愛猫の健康を守るための小さなお守りになれば嬉しいです。
猫との暮らしが、もっと穏やかで幸せなものになりますように。
次のステップ:愛猫の「嘔吐記録」をつけてみよう
記事の内容を活かすために、「愛猫のための健康管理チェックシート(嘔吐記録用)」 のテンプレートを作成しましょうか?
日付、時間、吐いた物の色や形状、その後の様子などをシンプルに記録できる表形式のメモを作成できます。これをスマホのメモ帳にコピペしておけば、いざ病院へ行く時に非常に役立ちますよ。

