【太り過ぎ】猫のダイエットを成功させる食事量と運動!適正体重の調べ方

「うちの子、ちょっとぽっちゃりしてきたかも?」

そう感じていても、丸いフォルムの猫ちゃんは可愛くて、ついつい甘やかしてしまいがちですよね。

でも、ちょっと待ってください。

その愛らしい「ぽっちゃり」が、実は愛猫の寿命を縮めているかもしれないんです。

猫の肥満は、人間と同じように万病のもと。

関節炎や糖尿病、心臓病など、恐ろしい病気のリスクが格段に上がってしまいます。

「ダイエットさせなきゃとは思うけど、ご飯を減らすと可哀想で……」

「運動させようとしても、すぐに寝転がっちゃう」

そんな悩みを持つ飼い主さんは非常に多いのです。

猫のダイエットは、ただ食事を減らせばいいという単純なものではありません。

急激な減量は肝リピドーシス(脂肪肝)という命に関わる病気を引き起こすこともあり、正しい知識と手順が必要です。

この記事では、猫の適正体重の調べ方から、無理なく痩せるための正確な食事量の計算、そして猫が喜ぶ運動のコツまでを徹底的に解説します。

愛猫と少しでも長く、健康に一緒にいるために。

今日からできる「猫のための健康習慣」を一緒に始めていきましょう。


目次

肥満度チェック!うちの子の適正体重を知ろう

まずは現状把握からスタートです。

「なんとなく太っている気がする」という感覚だけでなく、客観的な指標を使って愛猫の体型をチェックしてみましょう。

猫の適正体重は個体差が大きいため、単に体重の数値だけで判断するのは危険です。

骨格の大きさや猫種によって、ベストな体重は全く異なります。

ここでは、獣医師も使用している専門的なチェック方法と、自宅で簡単にできる体重測定のやり方をご紹介しますね。

ボディ・コンディション・スコア(BCS)で見た目と感触を確認

猫の肥満度を判断する世界共通の基準として、「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」というものがあります。

これは、猫を見て、触って、脂肪のつき具合を5段階で評価する方法です。

あなたの猫ちゃんはどのレベルに当てはまるか、実際に触りながら確認してみてください。

  1. BCS 1(痩せすぎ)
    • 肋骨:脂肪がなく、浮き出ている。
    • 見た目:極端にウエストがくびれている。
  2. BCS 2(やや痩せ)
    • 肋骨:簡単に触れることができ、脂肪は少ない。
    • 見た目:くびれがはっきりしている。
  3. BCS 3(理想体型・適正体重)
    • 肋骨:薄い脂肪越しに触れることができる。
    • 見た目:上から見ると適度なくびれがあり、横から見てもお腹が垂れていない。
  4. BCS 4(やや肥満)
    • 肋骨:脂肪が厚く、触るのが難しい。
    • 見た目:くびれがなくなり、背中が平らに見える。
  5. BCS 5(肥満)
    • 肋骨:厚い脂肪に覆われていて、全く触れない。
    • 見た目:お腹が大きく垂れ下がり、上から見ると樽のような形。

もしBCSが4や5に当てはまるようなら、ダイエットの開始時期です。

特に、肋骨を触ろうとしてもお肉に阻まれて骨の感触がない場合は、早急な対策が必要になりますよ。

理想は、1歳の頃の体重(成長が止まった時点の体重)をキープすることだと言われています。

当時の記録があれば、それがその子にとっての「適正体重」の目安になります。

正確な体重測定の方法と頻度

見た目のチェックができたら、次は実際の数値を把握しましょう。

「動物病院でしか測ったことがない」という方も多いですが、ダイエットを成功させるには自宅でのこまめな測定が欠かせません。

自宅で測る方法は大きく分けて2つあります。

一つ目は、人間用の体重計を使う方法です。

まず飼い主さんが体重計に乗り、その数値をメモします。

次に、猫を抱っこしてもう一度体重計に乗ってください。

そこから飼い主さんの体重を引けば、猫の体重が割り出せます。

ただし、人間用の体重計は50g〜100g単位でしか測れないことが多く、猫の細かな体重変化を見逃してしまうことがあります。

猫にとっての100gは、人間にとっての数キロに相当する大きな変化だからです。

そこでおすすめなのが、二つ目のペット用(または赤ちゃん用)スケールを使う方法。

これなら5g〜10g単位で測定できるため、「今週は20g減った!」という小さな成果も確認でき、モチベーション維持に役立ちます。

測定の頻度は、最低でも週に1回は行いましょう。

できれば毎日同じ時間(朝のご飯前など)に測るのがベストですが、ストレスにならない範囲で継続することが大切です。

記録をグラフにすると、変化が目に見えて分かるので楽しく続けられますよ。

【第1章のまとめ】

  • 猫の肥満は「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」でチェックする。
  • 肋骨が脂肪で触れない場合は、ダイエットが必要なサイン。
  • 1歳の頃の体重が、その子の適正体重の目安になる。
  • 人間用体重計での抱っこ測定か、ペット用スケールを使って測る。
  • 週に1回は体重を測り、記録をつける習慣をつける。

放置は危険!肥満が引き起こす猫の病気リスク

「ぽっちゃりしている方が可愛いし、長生きするんじゃない?」

そう思いたい気持ち、よく分かります。

確かに、高齢になった時に備えて多少の蓄えは必要ですが、若いうちからの過度な肥満はリスクの塊でしかありません。

肥満は単に体が重くなるだけでなく、体の中で慢性的な炎症が起きている状態とも言えます。

ここでは、太り過ぎが引き起こす具体的な病気のリスクについて、しっかり理解しておきましょう。

リスクを知ることは、ダイエットを継続する強い動機になります。

関節炎や糖尿病など深刻な疾患の原因に

体重が増えると、当然ながらそれを支える足腰への負担が激増します。

特に猫は高いところから飛び降りる動物なので、着地の衝撃は相当なものです。

その結果、発症しやすくなるのが関節炎や椎間板ヘルニアです。

「最近キャットタワーに登らなくなった」「寝てばかりいる」というのは、実は性格の変化ではなく、関節が痛くて動けないだけかもしれません。

また、肥満猫にとって最大のリスクと言えるのが糖尿病です。

脂肪細胞から分泌されるホルモンがインスリンの働きを阻害し、血糖値のコントロールができなくなってしまいます。

猫の糖尿病は、一度発症すると毎日のインスリン注射が必要になり、猫にとっても飼い主さんにとっても大きな負担となります。

しかし、早期にダイエットを行うことで、糖尿病のリスクは劇的に下げることができるのです。

その他にも、以下のような病気のリスクが高まります。

  • 下部尿路疾患:太っているとトイレに行くのが億劫になり、尿を我慢して膀胱炎や結石ができやすくなる。
  • 心臓病・呼吸器疾患:体に脂肪がつくと、血液を送り出す心臓や呼吸をする肺に負担がかかる。
  • 便秘:運動不足やお腹の脂肪による圧迫で、腸の動きが悪くなる。

グルーミング不足による皮膚トラブルとQOLの低下

病気以外にも、日常生活の質(QOL=クオリティ・オブ・ライフ)が著しく低下します。

猫は本来、とてもきれい好きな動物ですよね。

毎日体を舐めてグルーミングをしますが、太りすぎると体が曲がらなくなり、お尻や背中に舌が届かなくなってしまいます。

その結果どうなるでしょうか。

お尻周りが不潔になり、毛玉ができたり、皮膚炎を起こしたりします。

排泄物が毛についたままになることもあり、衛生環境が悪化してしまうのです。

「自分で自分をきれいにできない」という状態は、猫にとって大きなストレスになります。

ストレスから過食に走り、さらに太るという悪循環に陥ることも。

また、麻酔のリスクも上がります。

万が一、病気や怪我で手術が必要になった際、脂肪が厚いと麻酔薬が脂肪に蓄積されて覚めにくくなったり、呼吸管理が難しくなったりします。

「太っているから手術ができない」と獣医師に言われてしまうケースさえあるのです。

愛猫が毎日快適に過ごし、いざという時に適切な治療を受けられるようにするためにも、適正体重の維持は飼い主さんの重要な責任だと言えますね。

【第2章のまとめ】

  • 肥満は関節炎の原因になり、歩行やジャンプが困難になる。
  • 糖尿病のリスクが跳ね上がり、毎日の注射生活になる可能性がある。
  • トイレを我慢しがちになり、尿路結石や膀胱炎になりやすい。
  • 体が曲がらずグルーミングができなくなり、皮膚炎や毛玉の原因になる。
  • 手術時の麻酔リスクが高まり、治療が困難になることがある。

食事量の計算式と正しい管理方法

いよいよ実践編です。

ダイエットの基本は「摂取カロリー < 消費カロリー」にすること。

運動も大切ですが、猫のダイエットにおいては食事管理が9割と言っても過言ではありません。

しかし、ただ漫然とフードを減らすのはNGです。

必要な栄養素まで不足してしまったり、空腹のストレスで凶暴化してしまったりするからです。

ここでは、論理的に必要なカロリーを計算し、確実に痩せるための食事量について解説します。

1日に必要なカロリー(RER)の計算方法

まずは、あなたの猫ちゃんが1日にどれくらいのカロリーを必要としているかを計算してみましょう。

少し算数が出てきますが、電卓を使えば簡単ですよ。

基本となるのは**安静時エネルギー要求量(RER)**です。

これは「何もせずじっとしていても消費するカロリー」のこと。

計算式は以下の通りです。

【RERの簡易計算式】

$$\text{体重(kg)} \times 30 + 70 = \text{RER(kcal)}$$

例えば、体重5kgの猫ちゃんなら

$5 \times 30 + 70 = 220 \text{kcal}$

となります。

しかし、これはあくまで「安静時」のカロリー。

ここから、ダイエットのために必要な摂取カロリー(DER)を割り出します。

減量を目指す場合の係数は、一般的に 0.8 〜 1.0 です。

【ダイエット用摂取カロリーの計算】

$$\text{RER} \times 0.8 = \text{1日の摂取カロリー目安}$$

先ほどの5kgの猫ちゃんで計算してみましょう。

$220 \times 0.8 = 176 \text{kcal}$

つまり、1日あたり176kcalを目安に食事を与えれば、理論上は痩せていくことになります。

ただし、これはあくまで目安です。

現在の体重ではなく「理想体重(目標体重)」を使って計算する方法もありますが、急激に減らしすぎると危険なので、まずは現在の体重で計算したRERの80%程度からスタートし、様子を見ながら調整するのが安全です。

注意点:

絶対に絶食はさせないでください。

丸2日以上食べないと、肝リピドーシスを引き起こすリスクがあります。

目分量はNG!キッチンスケールで1g単位まで計る

必要なカロリーが分かったら、それをフードの量(グラム)に換算します。

フードのパッケージ裏に「100gあたり〇〇kcal」と記載されていますよね。

計算式は以下の通りです。

$$\text{1日の必要カロリー} \div \text{フードの100gあたりのカロリー} \times 100 = \text{1日の給餌量(g)}$$

例えば、必要カロリーが176kcalで、フードが100gあたり350kcalの場合。

$176 \div 350 \times 100 = 50.2 \text{g}$

1日にあげる量は約50gとなります。

ここで一番大切なポイントをお伝えします。

それは、必ずキッチンスケール(はかり)を使って、毎回きっちり計ることです。

「計量カップでこれくらい」という目分量は、ダイエット失敗の最大の原因です。

フードの粒の大きさや詰め方によって、計量カップの誤差は平気で10〜20%ほど出てしまいます。

数グラムの誤差が、体の小さな猫にとっては大きなカロリーオーバーにつながるのです。

毎回計るのは面倒に感じるかもしれませんが、

「朝分と夜分をまとめて計ってタッパーに入れておく」

という方法なら、忙しい朝でも楽ちんですよ。

おやつをあげる場合は、その分のカロリーを必ず食事から引いてください。

おやつは1日の総カロリーの10%以内に抑えるのが鉄則です。

【第3章のまとめ】

  • ダイエットの基本は食事管理が9割。
  • 計算式「(体重×30+70)×0.8」で1日の目標カロリーを出す。
  • 急激な減量は危険。様子を見ながら微調整する。
  • 計量カップは誤差が出るので使わない。
  • 必ずキッチンスケールで1g単位で計量して与える。

満腹感をサポート!ダイエットフードの選び方

食事量を制限すると、どうしても猫ちゃんはお腹が空きます。

「ご飯ちょうだい!」と夜中に鳴かれたり、足にまとわりつかれたりすると、飼い主さんの心が折れてしまいそうになりますよね。

そんな時に頼りになるのが、満腹感を維持しつつカロリーを抑えた「ダイエット用フード(療法食・総合栄養食)」です。

普通のフードをただ減らすよりも、栄養バランスを保ちながら健康的に痩せることができます。

どのようなフードを選べば良いのか、具体的なポイントを見ていきましょう。

高タンパク・低炭水化物・高繊維質のものを

猫は完全肉食動物です。

本来、炭水化物(穀物など)の消化は得意ではなく、タンパク質をエネルギー源としています。

そのため、ダイエットフードを選ぶ際は以下の3つの要素が重要になります。

  1. 高タンパク質筋肉を落とさずに脂肪だけを燃焼させるために必要です。筋肉量が減ると基礎代謝が落ち、逆に太りやすい体になってしまいます。
  2. 低炭水化物・低脂肪余分なカロリーをカットするためです。ただし、脂肪を減らしすぎると毛艶が悪くなることもあるので、良質な脂肪酸が含まれているものが理想的です。
  3. 高繊維質ここが満腹感のポイントです。食物繊維が多く含まれているフードは、お腹の中で膨らみ、満腹感を持続させる効果があります。また、便通を良くする効果も期待できます。

パッケージの成分表を見て、繊維質(粗繊維)の割合が高いものを選ぶと良いでしょう。

ただし、お腹が弱い子は繊維質が多すぎると下痢をしたり、逆に便秘になったりすることもあるので、便の状態は毎日チェックしてください。

また、ウェットフードを取り入れるのも非常に有効です。

ウェットフードは水分量が約80%と高く、ドライフードに比べてカロリー密度が低いです。

同じカロリーでも、ドライフードよりたくさんの量(カサ)を食べることができるため、猫の満足度が大きく上がります。

「ドライフードを少し減らして、その分ウェットフードをトッピングする」という方法は、水分補給にもなり一石二鳥でおすすめですよ。

切り替えは1週間以上かけてゆっくりと

良さそうなダイエットフードを見つけたら、すぐに全部切り替えたくなりますよね。

でも、急な切り替えはNGです。

猫は警戒心が強い動物なので、急にご飯が変わると全く食べなくなってしまうことがあります。

また、胃腸がびっくりして下痢や嘔吐をしてしまうことも。

フードの切り替えは、最低でも1週間から10日かけてゆっくり行いましょう。

  • 1〜2日目:今までのフード90% + 新しいフード10%
  • 3〜4日目:今までのフード70% + 新しいフード30%
  • 5〜6日目:今までのフード50% + 新しいフード50%
  • 7〜8日目:今までのフード30% + 新しいフード70%
  • 9〜10日目:新しいフード100%

このように少しずつ混ぜる割合を増やしていきます。

もし途中で便が緩くなったり、食いつきが悪くなったりしたら、前の段階の割合に戻して様子を見てください。

どうしてもダイエットフードを食べてくれない場合は、好みの味や食感じゃない可能性があります。

チキン味、魚味などフレーバーを変えてみたり、少し温めて香りを出してみたりと工夫してみてください。

獣医師に相談して、サンプルをもらって試すのも賢い方法です。

【第4章のまとめ】

  • 筋肉を維持するために高タンパクなフードを選ぶ。
  • 食物繊維が豊富なフードは満腹感が続きやすい。
  • ウェットフードを活用して、食事のカサ(ボリューム)を増やす。
  • フードの切り替えは1週間〜10日かけて徐々に行う。
  • 食べてくれない時は温めたり、フレーバーを変えたりして工夫する。

遊びで消費!無理なく続けられる運動習慣

食事管理ができたら、次は運動で消費カロリーを増やしましょう。

「うちの子、おもちゃを振っても寝たまま手だけ動かすんです……」

そんな飼い主さんの嘆きが聞こえてきそうですね。

太った猫ちゃんは動くのが億劫になっているので、最初は反応が悪いのが当たり前。

でも、狩猟本能を上手に刺激すれば、必ず動いてくれるようになります。

大切なのは「長時間やらせないこと」と「上下運動」です。

1回5分〜15分、狩猟本能を刺激する遊び方

猫にとっての運動は、イコール「狩り」です。

マラソンのように長時間走り続ける運動は向いていません。

短距離走のような瞬発的な動きを数回繰り返すのが、猫本来の動きです。

ですので、1回の遊び時間は5分〜15分程度で十分。

これを1日に数回(朝と夜など)行うのが理想的です。

動かない猫ちゃんを動かすコツは、おもちゃの動かし方にあります。

  1. 物陰を使う獲物は堂々と目の前には現れません。クッションや壁の陰から「チラッ」と見え隠れさせると、猫の瞳孔が開いて狙い始めます。
  2. 音を立てるカサカサという音は、虫や小動物の足音に似ています。新聞紙の下におもちゃを潜り込ませて音を立てると、興味をそそられます。
  3. 緩急をつけるゆっくり動かして……ピタッと止める。そして急に素早く動かす!この「静と動」の動きに猫は弱いです。

おすすめのおもちゃは、飼い主さんが動きをコントロールできる**猫じゃらし(釣り竿タイプ)**です。

レーザーポインターもたくさん走ってくれますが、実体がないため「捕まえた!」という満足感が得られず、ストレスになることがあります。

最後は必ずおもちゃを捕まえさせて、「狩り成功!」の達成感を味あわせてあげてください。

ご褒美にダイエット用の一粒フードをあげると、満足して遊びを終えられます。

キャットタワーや配置換えで上下運動を促す

平面の移動よりも、エネルギーを多く使うのが上下運動です。

ジャンプして登ったり降りたりする動きは、全身の筋肉を使う良い筋トレになります。

もし家にキャットタワーがない場合は、導入を検討してみてください。

すでに持っているけれど使ってくれない場合は、配置場所に問題があるかもしれません。

  • 窓の外が見える場所に置く:外の鳥や人を観察するために登るようになります。
  • 家具と組み合わせて動線を増やす:ソファ→棚→タワーというように、階段状に配置して登りやすくします。

また、食事場所を少し高いところに設置するのも効果的です。

ご飯を食べるためには必ず少し登らなければならない、という状況を自然に作ります。

ただし、高齢猫や関節炎の疑いがある猫ちゃんの場合は、無理な段差は体に毒なので、スロープをつけるなどの配慮をしてください。

「給餌用おもちゃ(知育トイ)」を使うのも良いアイデアです。

転がすと少しずつフードが出てくるボールなどを活用すれば、食べながら自然と体を動かすことができます。

早食い防止にもなり、退屈しのぎにもなるので、留守番中の運動不足解消にぴったりですよ。

【第5章のまとめ】

  • 1回の運動は15分以内でOK。1日数回に分ける。
  • おもちゃは物陰や緩急を使って「狩猟本能」を刺激する。
  • 最後は必ず獲物を捕まえさせて達成感を与える。
  • キャットタワーや家具の配置で、上下運動を増やす。
  • 高い場所にご飯を置いたり、知育トイを使って「動かないと食べられない」工夫をする。

リバウンドさせない!成功のための心構え

ここまで、食事と運動のテクニックをお伝えしてきました。

しかし、ダイエット成功の最大の鍵は、実は「飼い主さんのメンタル」にあります。

愛猫の「お腹すいた」攻撃に耐え、心を鬼にして管理を続けるのは本当に大変なことです。

そして、せっかく痩せてもすぐにリバウンドしてしまっては意味がありません。

最後に、ダイエットを長期的に成功させ、リバウンドを防ぐための心構えとコツをお話しします。

「おねだり=空腹」とは限らない!おやつのルール

猫が「ニャ〜」と可愛く鳴いて擦り寄ってくる時。

「お腹が空いたのかな?」と思って、すぐにご飯やおやつをあげていませんか?

実はそれ、空腹のサインではないことが多いのです。

  • 「遊んでほしい」
  • 「トイレを掃除して」
  • 「撫でて」
  • 「なんとなく暇」

こういった要求を伝えているだけの可能性があります。

それなのに毎回食べ物を与えてしまうと、猫は

「鳴けば美味しいものが出てくる!」

と学習し、さらにおねだりが激しくなってしまいます。

おねだりされたら、まずは5分だけ遊んでみるか、優しく撫でてあげるようにしましょう。

それで満足して離れていくなら、お腹が空いていたわけではありません。

また、家族内でのルール統一も重要です。

お母さんは厳しく管理しているのに、お父さんが隠れておやつをあげていた……というのは「ダイエットあるある」です。

「おやつは1日〇個まで」「あげた人はボードにチェックを入れる」など、家族全員で情報を共有し、抜け駆け禁止のルールを徹底しましょう。

どうしてもおやつをあげたい時は、1日の食事用のドライフードから数粒取り分けて、それを「おやつとして」手からあげるのがおすすめです。

カロリーオーバーを防ぎつつ、コミュニケーションも取れますよ。

記録をつけて小さな変化を喜ぶ

猫のダイエットは長期戦です。

半年から1年かけて、ゆっくり体重を落としていくのが理想です。

(1週間に体重の1〜1.5%減が目安。5kgの猫なら週に50g〜75g程度)

あまりに変化が緩やかなので、途中で「本当に効果があるのかな?」と不安になったり、モチベーションが下がったりすることもあるでしょう。

だからこそ、**記録(レコーディング)**が大切になります。

  • 日付
  • 体重
  • 食事量(g)
  • 便の状態
  • 体型の写真(真上・横から)

これらをノートやスマホアプリに記録しておきましょう。

数値の変化だけでなく、月1回写真を撮っておくと、半年後に見返した時に

「うわ!ウエストにくびれができてる!」

と驚くほどの変化を実感できます。

また、定期的に動物病院でチェックしてもらうのも良いですね。

獣医師に「順調ですね」「頑張ってますね」と褒めてもらえると、飼い主さんのやる気も復活します。

ダイエットは、愛猫に我慢を強いる「かわいそうなこと」ではありません。

愛猫が身軽になって元気に走り回り、病気の苦しみから遠ざかるための「最高のプレゼント」です。

そのことを忘れずに、焦らずじっくり向き合っていきましょう。

【第6章のまとめ】

  • おねだりは空腹とは限らない。まずは遊んだり撫でたりして対応する。
  • 家族全員でルールを統一し、隠れおやつを防止する。
  • 1日の食事から取り分けたフードをおやつ代わりにする。
  • 体重や体型の写真を記録し、小さな変化を可視化する。
  • ダイエットは愛猫への「健康のプレゼント」だと心得る。

まとめ:愛猫の未来のために、今日から一歩ずつ

猫のダイエットについて、食事量から運動、メンタルケアまで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

最後に、今回の重要ポイントを振り返ります。

  1. まずは現状把握:BCSと体重測定で、愛猫の「今」を知る。
  2. 食事管理が最優先:計算式でカロリーを出し、キッチンスケールで正確に計る。
  3. フードの質:高タンパク・高繊維のダイエットフードやウェットフードを活用する。
  4. 狩りの動き:1日15分、獲物を模した遊びと上下運動を取り入れる。
  5. 焦らない:家族で協力し、記録をつけながら長期戦で取り組む。

「こんなに厳密にできるかな……」と不安になった方もいるかもしれません。

でも、最初から完璧を目指さなくても大丈夫です。

まずは「おやつを計る」「週に1回体重を測る」といった、できることから始めてみてください。

猫の体は、食べたものと毎日の習慣で作られています。

飼い主さんが意識を少し変えるだけで、愛猫の体型は必ず変わります。

ぽっちゃりも可愛いけれど、スリムで元気に長生きしてくれるのが一番の幸せ。

愛猫との素晴らしい未来のために、今日から「健康的なダイエット」をスタートさせましょう!

次にあなたができること

まずは今すぐ、愛猫を抱っこして人間用の体重計に乗ってみましょう。

そして、その数値をスマホのメモ帳に記録することから始めてみませんか?

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